和の心 其の一

昔、親方に叱られたことがある。

門に竹ぼうきを穂を上にして立てかけてあったのが原因だ。

そもそもこれは

「忙しいから来ないで!」

暗黙に言っていることだそうだ。植木屋が施主様の家にお邪魔して

勝手にそんな事をしていたら叱られて然りだ。

でも、気を付けていないとしがちな行為である。

お茶の作法でもやはり似たことがあったように思う。

飛び石にシュロ縄で化粧した石をさりげなく置いておく。

「ここから先は入らないで!」という意味だ。

それは竹の物であったりもする。

お茶に招かれ躙口から入る。最後の人は「トン!」と音をたてて閉める。

主人への合図だ。

無言の合図なる物が日本にはたくさんあると思う。特にお茶の世界で多く見られる。

それが和の心で日本人の美なるところだろう。わかりにくいかも知れない。

はっきり書いたり、言ったりしたら済むことかも知れない。

でも人を気遣う、思いやるそしておもてなす文化がある日本人だから

こそだと思う。

私たちはこの美しい心粋をもっと学ばなくてはいけないと私は思う。